シミが付いたのでクリーニング店に持ち込んだけど、シミが落ちずに返ってきた、というご相談は、染み抜き屋なら日常茶飯事な事例ではあります。
一昔前、それまではあまり認知されていなかった染み抜きを、ネットで集客するという市場を開拓した先達は、「クリーニングで落ちないシミを落とす」というキャッチフレーズで集客をしたところ、クリーニング業界から表に裏に色々と叩かれたそうです。
ボクはその後ろを付いて行ったので、あまり逆風は受けずにここまで来ましたが(笑)
クリーニング業界の人にすれば、クリーニングで落ちないシミ云々というのは面白くないというのは理解出来るのですが、そもそも、染み抜きとクリーニングは似て非なる物でありまして、今では多くのクリーニング店さんが当たり前のように謳っている染み抜きも、元は我々のような染み抜き業界の長年に渡り研鑽を重ねて蓄積された技術を使っているので、そこはお互い様なんじゃないか?と思うわけです。
こんなご時世なんですから、いがみ合ってもなんら良いことはないですよ(笑)
そんな業界裏話はさておき、今回は、クリーニング店さんに染み抜きに出したけど落ちずに返ってきた、油性のシミの染み抜きです。
油性のシミは、見た目になんとなく透明感というか、語彙力がなくてうまく言えないのですが、そういう雰囲気があります。
今回のお品物の場合も、油性のシミの雰囲気が出ています。
とは言え、染み抜きというのは見た目や経験だけではシミの原因の100%の解明は難しく、実施に染み抜きを行う際は、必ず基本の工程で進めるのが肝心です。
簡単に言うと、油性処理⇨水性処理⇨タンパク処理⇨色素処理⇨漂白処理・・・といった具合です(違ったらごめんなさい)
お客様によると、このお洋服はプレゼントされた物だそうで、シミが落ちないと困るというお話でしたので、染み抜き屋としては何とかしないとなぁ・・・という事例でしたが、うまく落とせて良かったです。