染み抜き屋が教える、着物お手入れを頼んで良いお店・悪い店

着物のお手入れを行うお店は、ネットで検索するとたくさんありますが、お客様からお聞きする話によると、どうもお店によって対応がまちまちのようです。

そこで、着物のお手入れを頼むお店を選ばれる際に参考にしていただきたいポイントをいくつか、染み抜き屋としてお教えしたいと思います!

問い合わせや相談した時の直感を信じる

まず、着物のお手入れをご依頼される際には、お店への問い合わせやご相談から始まりますが、その方法としては、主に、電話する・メールを送る・お店に行く、という三通りの方法があると思います。

そこで、お店の対応によっての判断方法ですが、電話をかけてみて、不親切というかやる気の感じられない声、もしくは職人特有の威圧的な態度で対応するお店は、最後までその対応が続きますので、避けた方が無難ではないかと思います(つーか、最低限の礼儀すら持てないなら表舞台に出てくんじゃねーよ、っていう話なんですけどね)

メールでの問い合わせの場合、休みでもないのに三日経っても返事がないとか、こちらが詳細を書いて問い合わせてるのに、返信が「見てみないと分かりません」みたいにそっけないとかの場合は、正直なところ、あまり期待は出来ないと思います。

直接お店を訪ねる場合は、お店の人の態度や応対ですぐに判断出来るかと思いますが、お店に入ったら断る自信が無いという方は、まずは電話などで問い合わせてみるのが良いのではないかと思います。

これは断言出来ますが、腕が良い職人は対応も丁寧で親切です。腕が無い職人ほど、相手がお客でもぞんざいな態度で接してきます。

何故か? それは、腕が良い職人ほど、自分が誇りを持っている仕事が出来るのは、お客さんがいて求められてこそ、というのを骨身に染みて知っているからです。

良いお店と期待出来ないお店の判別方法

次に、具体的な相談に対しての回答での判断方法ですが、一番分かりやすいのは、「古いシミ(変色したシミ)なんですが、直りますか?」と聞いてみることです。

ここで、まだ見てもいないのに「古いシミは直りませんね~」とか言っちゃうお店は、まず避けた方が良いかと思います。

誠実に仕事をしているお店であれば、「古いシミ・変色したシミは状態によって仕上がりも変わるので、実際に見てみないと判断が難しいのですが、もしよろしければ、まずは拝見させていただきます。」といったような答えが返ってくると思います。

あと、ちょっとしたお手入れ(衿の汚れ落とし・汗抜きのみなど)を嫌がらずに引き受けてくれるお店は、あらゆる困り事の相談に乗ってくれる可能性が高いです。

どんなお店に出せば良いのか?

着物をお手入れに出される際に、ご近所や知っている呉服店さんに持ち込まれるという方は結構いらっしゃると思います。もちろん、それ自体は間違いではありませんし、大抵の呉服店さんにはお抱えの加工業者さんがおられるので、あらゆる加工を扱っておられます。

ただ、ほとんどの呉服店さんは、着物や帯などを売るのが主な目的なので、着物のお手入れや染み抜きなどに対する知識や想いがどうしても低めの傾向があるように思います。

また、作業内容について、実際に作業を行う職人さんと話し合いが出来ませんので、細かな要望やニュアンスなどが伝わらず、希望する内容とのズレが生じることが多々あるようですので、作業内容やお見積りに関しては、しっかりと納得されるまで話を聞いておいた方が良いと思います。

当店のようにお手入れを専門に行っているお店の場合、個人店であれば直接作業をする職人とやり取りが出来ますし、細かな要望も聞いてもらえる場合が多いと思います。

番外編:こんな業者には頼んではいけない

悪口にならないように書けるか、ちょっと自信が無いのですが・・・(笑)

ウチにご来店されたお客様の話なのですが、当店にご相談される前に、とある呉服屋さんが開催した「きものお手入れ相談会」に行かれて、ご自分の黒留袖のお手入れを相談されたそうです。

黒留袖を広げてみると、相談会に来られていた職人さん?曰く「この黒留袖は色も褪せているし、シミも直らないから、解いて染め直しと仕立直しをした方がよい」と言われたそうです。

また「こんな色褪せた黒留袖を結婚式に着て行ったら、恥をかくよ」とまで言われたそうです。

そして、お店が提示した見積もり額は40万弱だったとか・・・

いやいやいや、それなりの新しい着物買えますがな(ノ∀`)

もちろん、その呉服店さんがマージンを取りますから、見積もり額が高額になるのも分かります。

でも、いくらなんでもそれはないだろう・・という金額でした。

そしてその黒留袖を私が拝見したところ、確かに少し色褪せが見られましたが、決して着られない状態ではなく、ましてや着て恥をかくような状態ではありませんでした。

シミについても、修正すれば着用に支障がなくなるものばかりでした。

染め替えという加工方法は、染み抜きや色修正で直せないような物についても、再び着用可能にすることが出来る場合が多い、ある意味最終兵器的な加工方法です。

ですが、染み抜きなどのお手入れで直せるような物まで、半ば脅しのようなセリフで高額な染め替えを勧めるやり方は、決して褒められる行為ではないと思います。

もし皆さんが着物お手入れの相談時にいきなり大掛かりで高額な加工を提案された場合は、即答はせずに、その加工は妥当なのかをじっくり考えたり、違うお店にセカンドオピニオン的に相談された方が良いと思います。

結論:いきなりもしくはやたら染め替えを勧めるお店は要注意(ΦωΦ)